さとり
人の 心を よむ 山の ふしぎな いきもの、さとりの おはなしです。
むかしむかし、山おくの 小屋で、きこりの おじさんが くらして いました。ある さむい 夜、おじさんは いろりで 火を たきながら、たきぎを 小さく わって いました。すると 戸が すうっと あいて、けむくじゃらの へんな ものが 入って きました。それは、人の 心を よむ「さとり」と いう 山の いきものでした。
おじさんは 心の 中で、「へんな やつが きたなあ」と 思いました。すると さとりが、にやりと わらって 言いました。「おまえ いま、へんな やつが きたなあ と 思ったな。」おじさんは どきっと して、「どうして わかったんだろう」と 思いました。「おまえ いま、どうして わかったんだろう と 思ったな。」「よし、つかまえて やろう」と 思うと、すぐに また 言われました。「おまえ いま、つかまえて やろう と 思ったな。」
おじさんは こまって しまいました。何を 考えても、ぜんぶ さとりに あてられて しまいます。「しかたない。気に しないで、仕事を つづけよう。」おじさんは さとりの ことを すっかり わすれて、たきぎを わる ことに むちゅうに なりました。
こん、こん、こん。すると、わった たきぎの かけらが ぴょんと はねて、さとりの はなに こつんと あたりました。「いたたっ。」さとりは 目を まるく して、とびあがりました。「人間は、思っても いない ことを するから おそろしい。」さとりは あわてて 外へ とびだし、山の おくへ にげて いきました。
おじさんは ぽかんと して、それから くすくす わらいだしました。その 夜は、いろりの 火に あたりながら、ゆっくり ねむったと いう ことです。
昔話をもとに、Dino Kids が子ども向けに文章を書きおこしました(CC0)。
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