ばけぞうり
すてられた ぞうりや げたが、夜に なると おどりだす おはなしです。
むかしむかし、ある 家に、ものを 大切に しない わかものが いました。わかものは、ぞうりが すこし すりきれると、ぽいっと ものおきに なげこんで しまいます。古い げたも、やぶれた かさも、ものおきの すみに ほうりだした ままでした。
ある 夜の こと、ものおきの ほうから、へんな 歌が 聞こえて きました。「からり ころり、すてられ ぞうり。からり ころり、さびしいな。」わかものが そっと のぞくと、古い ぞうりや げたや かさが、ぴょこぴょこ おどって いました。かさは 一本足で とびはね、ぞうりは ぱたぱた 足ぶみを して います。「わあ、ばけものだ。」わかものは ふとんに もぐりこんで、ぶるぶる ふるえました。
つぎの 夜も、その つぎの 夜も、歌は 聞こえて きました。こまった わかものは、となりの ものしりの おばあさんに 話しました。おばあさんは、話を 聞いて うなずきました。「それはね、大切に されなかった 道具たちが、さびしがって いるんだよ。」「ながい あいだ はたらいて くれたのに、ありがとうも 言って もらえなかったんだからね。」
わかものは ものおきから、ぞうりや げたや かさを ぜんぶ 出しました。ほこりを はらって、きれいに あらい、やぶれた ところは ていねいに なおしました。「いままで ごめんよ。これからは 大切に つかうからね。」なおせない ものには、「ながい あいだ ありがとう」と 声を かけて、きちんと かたづけました。
その 夜、ものおきは しんと しずかでした。それからは、ばけぞうりは 二度と 出て きませんでした。わかものが はく ぞうりは、なんだか うれしそうに、ぱたぱたと かるい 音を たてたと いう ことです。
昔話をもとに、Dino Kids が子ども向けに文章を書きおこしました(CC0)。
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