とっつく ひっつく
山で ふしぎな 声に こたえた おじいさんの せなかに、こばんが くっつく おはなしです。
むかしむかし、ある 山の 村に、しょうじきな おじいさんと おばあさんが いました。ある 日、おじいさんは 山で たきぎを あつめて いるうちに、すっかり おそく なって しまいました。くらい 山みちを いそいで いると、どこからか ふしぎな 声が 聞こえて きました。「とっつこうか、ひっつこうか。」おじいさんは 足を とめて、くびを かしげました。「なんだか よく わからんが、とっつかば とっつけ、ひっつかば ひっつけ。」
すると 上から、きらきら 光る ものが ばらばらと ふって きました。それは、ぴかぴかの こばんでした。こばんは おじいさんの せなかにも かたにも、ぺたぺたと くっつきました。「おもい、おもい。」おじいさんは よいしょ、よいしょと、こばんを せおって 家へ 帰りました。おばあさんは 目を まるく して、大よろこびしました。
となりの よくばりな おじいさんが、この 話を 聞きつけました。「よし、わしも こばんを どっさり もらって こよう。」となりの おじいさんは 夜を まって、おなじ 山みちへ 出かけました。すると、やっぱり あの 声が 聞こえて きました。「とっつこうか、ひっつこうか。」「とっつけ、とっつけ。ひっつけ、ひっつけ。はやく たくさん くっつけ。」
ところが 上から おちて きたのは、どろどろの まつやにでした。まつやには、となりの おじいさんの あたまにも せなかにも、べったり くっつきました。「わあ、べたべたで うごけない。」となりの おじいさんは、やっとの ことで 家まで 帰りました。家の おばあさんに ぬるい おゆで ごしごし あらって もらって、ようやく きれいに なりました。「よくばった わしが、わるかった。」
しょうじきな おじいさんと おばあさんは、こばんを 村の みんなにも わけて あげました。それからは、となりの おじいさんも いっしょに、みんなで なかよく くらしたと いう ことです。
昔話をもとに、Dino Kids が子ども向けに文章を書きおこしました(CC0)。
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