初天神
天神さまの おまつりへ 出かけた、おとうさんと きんぼうの おはなしです。
むかし、ある 町に、きんぼうと いう 元気な 男の子が いました。今日は、その 年 はじめての 天神さまの おまつりです。「おとうちゃん、ぼくも つれてって。」「だめだめ。おまえを つれて 行くと、あれ 買って、これ 買ってと うるさいからな。」「今日は なにも ねだらないよ。やくそくする。」
おとうさんと きんぼうは、手を つないで 出かけました。天神さまへ つづく 道には、おみせが ずらりと ならんで います。「おとうちゃん、ぼく、いい 子に して いるでしょう。」「ああ、えらいぞ。」「いい 子に して いるから、あの あめを 買って。」「なんだ、やっぱり ねだるのか。」おとうさんは しかたなく、あめを 一つ 買って やりました。
つぎに きんぼうは、だんごやの 前で 足を とめました。「おとうちゃん、だんご。」おとうさんは だんごを 買うと、まわりの みつを ぺろぺろ なめて しまいました。「みつが たれて、きものが よごれるからな。」そして なめた だんごを、また みつの つぼに どぶんと つけました。「あっ、おとうちゃん、なめた だんごを また つけた。」だんごやの おじさんは、こまった 顔で わらって いました。
さいごに きんぼうは、大きな たこを ゆびさしました。「おとうちゃん、あの いちばん 大きい たこが ほしい。」おとうさんは「しかたないなあ」と 言いながら、たこを 買って くれました。ふたりは 広い 原っぱへ、たこあげに 行きました。
「どれ、おとうちゃんが あげかたを 見せて やろう。」おとうさんが 走ると、たこは 風に のって 空たかく あがりました。「よし、よし。うまい もんだろう。」おとうさんは すっかり むちゅうに なって、いとを はなしません。「おとうちゃん、ぼくにも やらせて。」「まだ まだ。おまえには まだ はやい。」
きんぼうは、ほっぺを ふくらませて 言いました。「こんな ことなら、おとうちゃんを つれて くるんじゃ なかった。」おとうさんは はっと して、わらいながら いとを きんぼうに わたしました。ふたりの たこは、青い 空の 上で いつまでも ゆれて いましたとさ。
昔話をもとに、Dino Kids が子ども向けに文章を書きおこしました(CC0)。
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