きつねと たにしの かけくらべ
足の はやい きつねと、のろのろ 歩く たにしが、かけくらべを する おはなしです。
むかしむかし、ある 田んぼの そばに、足の はやい きつねが 住んで いました。きつねは いつも、自分の 足の はやさを じまんして いました。ある 日、きつねは 田んぼの あぜで、たにしに 会いました。「やあ、たにしどん。あいかわらず、のろのろ 歩いて いるねえ。」「そんなに のろのろでは、となりの 村へ 行くのにも 一年 かかるだろう。」
たにしは すこし むっとして、こう 言いました。「それなら きつねどん、わたしと かけくらべを しませんか。」きつねは おなかを かかえて わらいました。「いいとも。向こうの 村の お宮まで、きょうそうだ。」「ようい、どん。」
きつねが かけだそうと した とき、たにしは きつねの しっぽの 先に、ぴたっと くっつきました。きつねは ちっとも 気が つきません。野はらを こえ、小川を とびこえて、きつねは びゅんびゅん 走りました。「たにしどんは、まだ 田んぼの そばで もたもた して いるだろう。」
やがて きつねは、お宮の 前に つきました。「さて、たにしどんは どこかな。」きつねは うしろを 見ようと、くるりと からだを まわしました。その はずみで、しっぽの たにしが ぽんと とんで、お宮の 石だんに ころんと おちました。きつねが 前を むきなおると、たにしが すまして 言いました。「きつねどん、おそかったですね。わたしは もう、とっくに ついて いましたよ。」きつねは 目を ぱちくり させました。「ええっ、いつの まに。」
きつねは すっかり まいって、あたまを かきました。「のろのろなんて 言って、わるかったよ。」それからは、きつねも 足の おそい なかまを わらわなく なったと いう ことです。
昔話をもとに、Dino Kids が子ども向けに文章を書きおこしました(CC0)。
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