たぬきの 糸車
糸車の まねを する いたずらな たぬきと、やさしい おばあさんの おはなしです。
ふかい 山の なかに、小さな 家が ぽつんと ありました。そこでは、きこりの おじいさんと おばあさんが くらして いました。ちかくの 森には たぬきが いて、ときどき 家の まわりで いたずらを しました。おじいさんは「こまった たぬきだ」と 言って、家の うらに わなを ひとつ しかけました。
ある 夜、おばあさんは いろりの そばに すわって、糸車で 糸を つむぎはじめました。くるくる くるくる、糸車が まわります。そのうち、戸口の すきまに、なにかが ちらりと 見えました。よく 見ると、たぬきが 目を まるく して、こちらを のぞいて います。たぬきは 糸車に あわせて、小さな 手を くるくる まわして いました。「まあ、わたしの まねを して いるのね。」おばあさんは 声を 出さないように、そっと わらいました。
つぎの 朝、おばあさんが 水を くみに 出ると、わなの なかで たぬきが しょんぼり ちぢこまって いました。「かわいそうに。もう いたずらは しないでね。」おばあさんは わなを はずして、たぬきを 森へ にがして あげました。
雪が ふる 冬の あいだ、ふたりは ふもとの 村で すごしました。あたたかく なって 山の 家に もどると、おばあさんは「あらまあ」と 声を あげました。家じゅうに、きれいな 糸の たばが ずらりと ならんで いたのです。「だれが こんなに つむいで くれたのかしら。」おくの へやを のぞくと、あの たぬきが 糸車の 前に ちょこんと すわって いました。おばあさんの まねを して、手を くるくる。糸が するする できあがって いきます。冬の あいだ ずっと、ここで 糸を つむいで くれて いたのでしょう。
おばあさんと 目が あうと、たぬきは ぺこりと おじぎを しました。それから しっぽを ふりふり、森の おくへ かけて いきました。「ありがとう、たぬきさん。」おばあさんは にこにこ わらって、いつまでも 手を ふって いましたとさ。
昔話をもとに、Dino Kids が子ども向けに文章を書きおこしました(CC0)。
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