ふるやの もり
おおかみと どろぼうが、ふるい 家の「もり」を こわがって にげだす おはなしです。
むかしむかし、ある 村の ふるい 家に、おじいさんと おばあさんが 住んで いました。ふたりは 小さな 子馬を、たいせつに かって いました。
ある 雨の 夜、子馬を ねらって、おおかみが うまやに しのびこみました。おなじ 夜、どろぼうも 子馬を ぬすもうと、うまやの 屋根うらに かくれて いました。おおかみも どろぼうも、じっと 耳を すませて いました。
家の なかでは、おじいさんと おばあさんが 話して いました。「ねえ、おじいさん。この 世で いちばん こわい ものは なんでしょうね。」「そうさなあ。おおかみも こわいし、どろぼうも こわい。」「でも いちばん こわいのは、なんと いっても ふるやの もりじゃ。」「ええ、ほんとうに。ふるやの もりが いちばん こわいですね。」
それを 聞いた おおかみは、ぶるっと ふるえました。「ふるやの もりとは、おれより こわい ばけものに ちがいない。」屋根うらの どろぼうも、どきどきして 青く なりました。でも、ふるやの もりと いうのは、ふるい 家の 雨もりの ことなのです。
そのとき、屋根から ぽたん、ぽたんと 雨もりが はじまりました。「たいへん。ふるやの もりが きましたよ。」どろぼうは びっくりして 足を すべらせ、下へ どすんと おちました。おちた ところは、ちょうど おおかみの せなかの 上でした。「でた。ふるやの もりだ。」おおかみは どろぼうを せなかに のせた まま、むちゅうで かけだしました。どろぼうも ふりおとされないように、ひっしで しがみつきました。
やがて どろぼうは、ころんと やわらかい 草の 上に おちました。おおかみは そのまま、山の おくへ にげて いきました。どちらも、もう 二度と その 村には きませんでした。つぎの 日、おじいさんは 屋根を なおして、雨もりを ふさぎました。おじいさんと おばあさんと 子馬は、それからも なかよく くらしましたとさ。
昔話をもとに、Dino Kids が子ども向けに文章を書きおこしました(CC0)。
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