ばけものでら
ばけものが 出ると いう お寺に、かしこい おぼうさんが とまる おはなしです。
むかしむかし、ある 村の はずれに、だれも 住んで いない 古い お寺が ありました。「あの お寺には、夜に なると ばけものが 出るそうだ。」村の 人たちは こわがって、だれも ちかよりませんでした。
ある 日、たびの おぼうさんが 村に やって きました。「では、わたしが 今夜、あの お寺に とまって みましょう。」おぼうさんは あかりを ともして、お寺の まんなかに すわりました。
夜も ふけた ころ、どこからか 声が 聞こえて きました。「どんどこ どん。東の くらの どんどこ どん。」目の 前に、まんまるい おなかの ばけものが ぽんと あらわれました。おぼうさんは すこしも あわてずに 言いました。「わかったぞ。おまえは 東の くらに ある、古い たいこだな。」すると ばけものは「ばれたか」と 言って、すうっと きえました。
つぎに、さらさらと 音が して、また 声が しました。「さっさか さっ。西の すみの さっさか さっ。」「おまえは 西の すみの、古い ほうきだな。」ほうきの ばけものも、すうっと きえました。「ぎいこ ぎいこ。南の いどの ぎいこ ぎいこ。」「おまえは 南の いどの、古い つるべだな。」「からん ころん。北の えんの したの からん ころん。」「おまえは 北の えんの したの、古い げただな。」ばけものたちは みんな きえて、お寺は しいんと しずかに なりました。
朝に なって、おぼうさんは お寺の なかを しらべました。東の くらには、やぶれた たいこが ほこりを かぶって いました。西の すみには ほうき、南の いどには つるべ、北の えんの したには げたが ありました。「ながい あいだ わすれられて、さびしかったんだね。」
おぼうさんは どうぐを きれいに ふいて、こわれた ところを なおして あげました。村の 人たちも あつまって、お寺を ぴかぴかに そうじしました。それから、ばけものは もう 出なく なりました。どうぐたちは また 大切に つかわれて、しあわせに すごしたと いう ことです。
昔話をもとに、Dino Kids が子ども向けに文章を書きおこしました(CC0)。
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