ねずみきょう
でたらめの おきょうが、どろぼうを おいはらって しまう おはなしです。
むかしむかし、ある 山の 村に、ひとりの おばあさんが 住んで いました。おばあさんは まいばん、ほとけさまに おきょうを あげたいと 思って いました。でも、おきょうを ひとつも しりません。
ある 日の ゆうがた、たびの おぼうさんが とまりに きました。「おぼうさま、どうか わたしに おきょうを おしえて くださいな。」じつは この おぼうさん、おきょうを あまり よく しりませんでした。「こまったなあ。でも、ことわるのも わるいし。」
おぼうさんが ほとけさまの 前に すわると、かべの 小さな あなから ねずみが 一ぴき 出て きました。おぼうさんは それを 見ながら、おきょうの ような ふしを つけました。「おん ちょろちょろ、出て きたな。」ねずみは きょろきょろ、あたりを 見まわしました。「おん ちょろちょろ、こっちを のぞいて おるな。」もう 一ぴき 出て きて、ねずみたちは ちゅうちゅう ないて います。「おん ちょろちょろ、ないしょばなしを して おるな。」ねずみたちは ちょろっと、あなの なかへ もどって いきました。「おん ちょろちょろ、また あなへ 帰って いくぞ。」おばあさんは「ありがたい おきょうだ」と よろこんで、すっかり おぼえて しまいました。
それから おばあさんは、まいばん この おきょうを となえました。ある 夜、その 家に どろぼうが ふたり しのびこんで きました。ちょうど その とき、おばあさんの 声が 聞こえて きました。「おん ちょろちょろ、出て きたな。」どろぼうたちは どきっと しました。「おん ちょろちょろ、こっちを のぞいて おるな。」「おい、見つかって いるぞ。」「おん ちょろちょろ、ないしょばなしを して おるな。」「これは かなわん。にげろ。」
「おん ちょろちょろ、また あなへ 帰って いくぞ。」どろぼうたちは 何も とらずに、外へ とびだして いきました。おばあさんは そんな ことは なにも しらずに、つぎの 夜も おきょうを となえました。でたらめの おきょうでも、おばあさんの 家を ちゃんと まもって くれたのですね。
昔話をもとに、Dino Kids が子ども向けに文章を書きおこしました(CC0)。
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