たのきゅう
しばいの 上手な たのきゅうが、山の 大へびと ばけくらべを する おはなしです。
むかしむかし、あわの 国に、たのきゅうと いう しばいの 上手な 男が いました。たのきゅうは 村から 村へ たびを して、しばいを 見せて いました。ある 日、「おかあさんが かぜで ねこんだ」と いう しらせが とどきました。たのきゅうは いそいで、山を こえて 家へ 帰る ことに しました。
山の なかで 日が くれて、たのきゅうは 古い こやで やすみました。すると、しらがの おじいさんが のっそり 入って きました。「わしは この 山の 主の 大へびじゃ。おまえは だれじゃ。」「わたしは、たのきゅうです。」「なに、たぬきか。それなら ひとつ、ばけて 見せて くれ。」
たのきゅうは、にもつから かつらと きものを とりだしました。あっと いう まに、きれいな おひめさまに なって 見せました。つぎは、こしの まがった おばあさんです。「これは みごとな ばけっぷりじゃ。」大へびは すっかり かんしんして、たのきゅうを なかまだと 思いこみました。
「ところで たぬきどん、おまえの いちばん こわい ものは なんじゃ。」たのきゅうは すこし かんがえて こたえました。「わたしは、お金が いちばん こわいです。」「わしは、かきの しぶが にがてでなあ。かけられると 体が しびれるのじゃ。」朝に なると、大へびは 山の おくへ 帰って いきました。
ふもとの 村では、大へびが 田んぼを あらすので、みんな こまって いました。たのきゅうが 話を すると、村の 人たちは かきの しぶを あつめて、山に まきました。「うわあ、たまらん。この 山には もう 住めん。」大へびは、遠くの 山へ ひっこして いきました。
その 夜、たのきゅうの 家の 外で、大へびの 声が しました。「たぬきめ、よくも しゃべったな。おまえの いちばん こわい ものを くれて やる。」ざらざらっと 音が して、家の なかに こばんが 山の ように なげこまれました。「ああ、こわい、こわい。」たのきゅうは そう 言いながら、にっこり わらいました。おかあさんの かぜも すっかり なおって、ふたりは しあわせに くらしましたとさ。
昔話をもとに、Dino Kids が子ども向けに文章を書きおこしました(CC0)。
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