銀の しずく
村を 見まもる ふくろうの 神さまが、まずしい 男の子の 家を たずねる おはなしです。
これは、北海道の アイヌの 人びとが うたって つたえ、ちり ゆきえさんが 書きのこした おはなしです。わたしは、人間の 村を 見まもる ふくろうの 神です。ある 日、わたしは うたいながら、村の 上を とんで いました。「銀の しずく ふる ふる まわりに、金の しずく ふる ふる まわりに。」
下の 川べでは、子どもたちが おもちゃの 弓で あそんで いました。おかねもちの 家の 子どもたちは、ぴかぴかの 金の 矢を もって いました。「あの ふくろうまで とどくか、やって みよう。」金の 矢が つぎつぎに とんで きましたが、わたしは ひらりと みんな よけました。
その なかに、ひとりだけ まずしい 男の子が いました。つぎはぎの ふくを きて、木で 作った 小さな 弓を もって います。「木の 矢なんか、とどくものか。」おかねもちの 子どもたちは、男の子を からかって わらいました。それでも 男の子は 気に せず、まっすぐな 目で わたしを 見あげました。男の子が 木の 矢を はなつと、わたしは その 矢を 足で そっと つかまえました。そして ふわりと、男の子の そばへ おりて いきました。
男の子は よろこんで、わたしを 家へ つれて 帰りました。小さくて ふるい 家には、やさしい おとうさんと おかあさんが いました。「なんと、村を まもる 神さまが きて くださった。」ふたりは ていねいに おいのりを して、わたしを だいじに もてなして くれました。
その 夜、みんなが ねむった あとで、わたしは そっと はねを ひろげました。「銀の しずく ふる ふる まわりに、金の しずく ふる ふる まわりに。」わたしが うたいながら はばたくと、家の なかに きれいな たからものが ふえて いきました。ふるい 家は、あっと いう まに りっぱな 大きな 家に かわりました。
朝、目を さました 家の 人たちは、びっくりして 声も 出ません。「これは きっと、ふくろうの 神さまの おかげだ。」おとうさんは 村の 人たちを みんな よんで、ごちそうを ふるまいました。男の子を からかった 子どもたちも、家の 人と いっしょに まねかれました。子どもたちは「いままで ばかに して、ごめんなさい」と、男の子に あやまりました。それからは 村の みんなが、なかよく たすけあって くらすように なりました。
わたしは あんしんして、神の 国へ 帰りました。いまも 空の 上から、人間の 村を やさしく 見まもって います。
昔話をもとに、Dino Kids が子ども向けに文章を書きおこしました(CC0)。
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