しおふき うす
ほしい ものが 何でも 出て くる ふしぎな うすと、海の 水が しょっぱい わけの おはなしです。
むかしむかし、ある 村に、まずしい 弟と、お金もちの 兄が いました。おおみそかが ちかづいても、弟の 家には おもちも お米も ありません。弟は 兄の 家へ たのみに 行きましたが、ことわられて しまいました。
しょんぼり 帰る とちゅう、白い ひげの おじいさんに 会いました。おじいさんは、まんじゅうを ひとつ くれて 言いました。「森の おくの 小人たちに、これを あげなさい。かわりに 石の うすを もらうんじゃよ。」「うすを 右に まわせば、ほしい ものが 出て くる。左に まわせば とまるからね。」弟が 森へ 行くと、指ほどの 小人たちが わらわら あつまって きました。弟は まんじゅうと とりかえっこして、小さな 石の うすを もらいました。
家に 帰ると、弟は さっそく うすを 右に まわしました。「お米、出ろ。お米、出ろ。」すると、ごろごろ ごろごろ、お米が どっさり 出て きました。おもちも、おさかなも、あたたかい きものも 出て きました。弟は うすを 左に まわして とめると、村の みんなにも わけて あげました。
この うわさを 聞いた どろぼうが、ある 夜、うすを ぬすみだしました。どろぼうは 小さな 船に のって、海へ こぎだしました。「しおを たくさん 出して 売れば、大もうけだぞ。」「しお、出ろ。しお、出ろ。」うすは ごろごろ まわって、白い しおが どんどん 出て きました。
ところが どろぼうは、うすの とめかたを 知りません。しおは 山の ように つもって、船は ぐらぐら かたむきました。とうとう 船は、うすと いっしょに 海の そこへ しずんで しまいました。どろぼうは ずぶぬれに なって、やっとの ことで 岸まで およぎつきました。「ああ、もう ぬすみなんて こりごりだ。」
うすは いまも 海の そこで、ごろごろ まわって いる そうです。だから 海の 水は、いまでも しょっぱいのだと いう ことです。弟の ほうは、うすが なくなっても、村の みんなと たすけあって なかよく くらしましたとさ。
昔話をもとに、Dino Kids が子ども向けに文章を書きおこしました(CC0)。
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