てんぐの うちわ
てんぐの ふしぎな うちわで、はなを のばしたり ちぢめたり する おはなしです。
むかしむかし、なまけものの 男が 山みちを 歩いて いました。ふと 見ると、大きな 木の 上で、てんぐが ぐうぐう ひるねを して います。木の 下には、てんぐの 羽の うちわが ひとつ おちて いました。男は うちわを ひろって、ためしに 道ばたで ねて いた 犬を あおいで みました。すると、犬の はなが にゅうっと のびました。あわてて うらがえして あおぐと、はなは しゅるしゅると もとに もどりました。「これは おもしろい。おもてで あおぐと のびて、うらで あおぐと ちぢむんだな。」
男が 町へ 行くと、長者さまの むすめさんが 歩いて いました。男は ものかげから、むすめさんの はなを そっと おもてで あおぎました。むすめさんの はなは、にゅうっ、にゅうっと のびて しまいました。長者さまの 家は、たいへんな さわぎに なりました。「むすめの はなを なおして くれた 人に、ほうびを あげよう。」男は しらん 顔で 出かけて いって、うちわの うらで あおぎました。むすめさんの はなは、すっかり もとどおりに なりました。男は ほうびを たくさん もらって、ほくほくがおで 帰りました。
ある 日、男は ごろりと ねころんで、ふと 思いました。「自分の はなは、どこまで のびるのかな。」男が うちわの おもてで あおぐと、はなは にゅうにゅう のびて いきます。屋根を こえ、くもを こえ、とうとう 天まで とどいて しまいました。
天では、かみなりさまたちが あまのがわに 橋を かけて いる ところでした。「おや、ちょうど いい ぼうが のびて きたぞ。」かみなりさまたちは、その はなを 橋の 柱に ぐるぐると しばりつけました。「いたた。これは たいへんだ。」男が うちわの うらで あおぐと、はなは ちぢみましたが、こんどは からだが ふわりと 空へ ひっぱりあげられました。男は 天の 橋に ぶらさがって、大きな 声で あやまりました。「むすめさんに いたずらを して、ごめんなさい。もう しません。」
かみなりさまたちは わらって、しばった はなを ほどいて くれました。男は ひゅうっと おちて、村の わらの 山に ぽふんと おちました。けがも なく、はなも ちゃんと もとどおりでした。それから 男は うちわを てんぐに かえして、まじめに はたらいたと いう ことです。
昔話をもとに、Dino Kids が子ども向けに文章を書きおこしました(CC0)。
このおはなしを読み上げで聞く
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