Dino Kids

てんぐの うちわ

日本にほんの昔話むかしばなし・全文(ふりがなつき)

てんぐの ふしぎな うちわで、はなを のばしたり ちぢめたり する おはなしです。

「てんぐの うちわ」のさし絵:すると、犬の はなが にゅうっと のびました。

むかしむかし、なまけものの 男おとこが 山やまみちを 歩あるいて いました。ふと 見みると、大おおきな 木きの 上うえで、てんぐが ぐうぐう ひるねを して います。木きの 下したには、てんぐの 羽はねの うちわが ひとつ おちて いました。男おとこは うちわを ひろって、ためしに 道みちばたで ねて いた 犬いぬを あおいで みました。すると、犬いぬの はなが にゅうっと のびました。あわてて うらがえして あおぐと、はなは しゅるしゅると もとに もどりました。「これは おもしろい。おもてで あおぐと のびて、うらで あおぐと ちぢむんだな。」

男おとこが 町まちへ 行いくと、長者ちょうじゃさまの むすめさんが 歩あるいて いました。男おとこは ものかげから、むすめさんの はなを そっと おもてで あおぎました。むすめさんの はなは、にゅうっ、にゅうっと のびて しまいました。長者ちょうじゃさまの 家いえは、たいへんな さわぎに なりました。「むすめの はなを なおして くれた 人ひとに、ほうびを あげよう。」男おとこは しらん 顔かおで 出でかけて いって、うちわの うらで あおぎました。むすめさんの はなは、すっかり もとどおりに なりました。男おとこは ほうびを たくさん もらって、ほくほくがおで 帰かえりました。

ある 日ひ、男おとこは ごろりと ねころんで、ふと 思おもいました。「自分じぶんの はなは、どこまで のびるのかな。」男おとこが うちわの おもてで あおぐと、はなは にゅうにゅう のびて いきます。屋根やねを こえ、くもを こえ、とうとう 天てんまで とどいて しまいました。

天てんでは、かみなりさまたちが あまのがわに 橋はしを かけて いる ところでした。「おや、ちょうど いい ぼうが のびて きたぞ。」かみなりさまたちは、その はなを 橋はしの 柱はしらに ぐるぐると しばりつけました。「いたた。これは たいへんだ。」男おとこが うちわの うらで あおぐと、はなは ちぢみましたが、こんどは からだが ふわりと 空そらへ ひっぱりあげられました。男おとこは 天てんの 橋はしに ぶらさがって、大おおきな 声こえで あやまりました。「むすめさんに いたずらを して、ごめんなさい。もう しません。」

かみなりさまたちは わらって、しばった はなを ほどいて くれました。男おとこは ひゅうっと おちて、村むらの わらの 山やまに ぽふんと おちました。けがも なく、はなも ちゃんと もとどおりでした。それから 男おとこは うちわを てんぐに かえして、まじめに はたらいたと いう ことです。

昔話をもとに、Dino Kids が子ども向けに文章を書きおこしました(CC0)。

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