とびうめ
遠くへ 行った みちざねさまを おって、うめの 木が 空を とんだ おはなしです。
むかしむかし、都に、すがわらの みちざねと いう かしこい 人が いました。みちざねさまは、本を よむのも、うたを 作るのも 大すきでした。家の 庭には、子どもの ころから 大切に して きた うめの 木が ありました。春に なると、うめは 白い 花を さかせて、あたりを いい においで つつみました。
ある とき、みちざねさまは だざいふと いう 遠い 町へ 行く ことに なりました。もう 都の 家へ 帰って こられないかも しれません。出かける 前の 日、みちざねさまは うめの 木の 前に 立ちました。そして、こんな うたを 作りました。「こち ふかば におい おこせよ うめの はな、あるじ なしとて 春を わするな。」「春の 風が ふいたら、わたしの ところまで においを とどけて おくれ。」「わたしが いなくても、春を わすれずに さくんだよ。」
みちざねさまは、遠い だざいふへ たびだちました。だざいふでの くらしは、とても さびしい ものでした。「都の うめは、いまごろ どう して いるだろう。」
ある 夜の ことです。都の うめの 木は、みちざねさまに 会いたくて たまらなく なりました。うめの 木は ねっこごと ふわりと うきあがり、夜の 空を とんで いきました。山を こえ、海を こえて、うめの 木は みちざねさまの 家の 庭に おりたちました。
朝、庭に 出た みちざねさまは、目を まるく しました。「おお、おまえ、きて くれたのか。」うめの 木は 白い 花を いっぱいに さかせて、なつかしい においで みちざねさまを つつみました。この うめは「とびうめ」と よばれ、いまも だざいふで 毎年 花を さかせて います。みちざねさまは いま、学問の 神さまの 天神さまと して 大切に されて います。
昔話をもとに、Dino Kids が子ども向けに文章を書きおこしました(CC0)。
このおはなしを読み上げで聞く
アプリ Dino Kids では「とびうめ」を読み上げつきで聞けます。読んでいる文が光り、速さは3段階。おうちの人の声で録音することもできます。無料・広告なし・アプリ内課金なし。





