うぐいすの さと
山おくの ふしぎな やしきで、見ては いけない へやを のぞいた きこりの おはなしです。
むかしむかし、ある 山の ふもとに、ひとりの きこりが 住んで いました。ある 日、きこりが 森の おくへ 入って いくと、見た ことの ない りっぱな やしきが ありました。「こんな ところに、こんな 家が あったかなあ。」やしきからは、うつくしい 女の 人が 出て きました。
「よく いらっしゃいました。わたしは これから 町へ 出かけます。」「すこしの あいだ、るすばんを して いただけませんか。」「ただ ひとつ、いちばん おくの へやだけは、けっして のぞかないで くださいね。」きこりは「わかりました」と やくそくしました。
ひとりに なった きこりは、やしきの なかを 見て まわりました。さいしょの へやを あけると、春の 野はらで、さくらの 花が さいて いました。つぎの へやは 夏で、青い 田んぼで かえるが ないて いました。その つぎは 秋の もみじ、その また つぎは まっしろな 冬の 雪げしきです。「なんて ふしぎな やしきだろう。」
とうとう、いちばん おくの へやの 前まで きました。「ちょっとだけなら、いいだろう。」きこりは そっと ふすまを あけて しまいました。へやの なかには うめの 木が あって、白い 花が さいて いました。えだの 上には 小さな すが あって、たまごが 三つ ならんで いました。「かわいい たまごだなあ。」きこりは しばらく 見つめて から、そっと ふすまを しめました。
やがて、女の 人が 帰って きました。女の 人は おくの へやを 見て、かなしそうな 顔を しました。「あれほど たのんだのに、見て しまったのですね。」「あの たまごは、わたしの だいじな 子どもたちなのです。」「やくそくが やぶられたので、わたしは もう ここで くらす ことが できません。」そう 言うと、女の 人は 一わの うぐいすに なりました。
うぐいすは「ほーほけきょ」と ないて、空へ とんで いきました。すると やしきは ふっと きえて、きこりは 野はらに ひとりで 立って いました。見あげると、うめの 木の えだに 小さな すが あり、うぐいすが そばに とまって いました。「ごめんよ。たまごを 大切に してね。」それから きこりは、どんな 小さな やくそくも まもるように なりました。春に なると、その 山では いまも うぐいすが きれいな 声で ないて います。
昔話をもとに、Dino Kids が子ども向けに文章を書きおこしました(CC0)。
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